top of page
執筆者の写真LIM projects

運動で高血圧が改善できるのはなぜ?



高血圧について

「血圧が高いと健康に悪い」

ということは皆さんご存知だと思います。


前回は高血圧の対策として筋力トレーニングについて投稿しました。




高血圧に対する対策を行うことで確実に血圧を下げることができます。


そして、血圧を下げることで脳卒中や心疾患などの病気のリスクを低減することができます。


その血圧を下げるひとつの方法が、筋力トレーニングを行うことになります。


今回は、高血圧における生活習慣の改善として運動を行うと血圧が下がる仕組みについて紹介していきたいと思います。



高血圧とは?


高血圧とは、その名の通り血圧が高い状態を言います。


健康な人でも、日によって変動があり時間や気温の変化、運動の有無の影響で一時的に血圧が高くなることもります。


血圧が高めの時から生活習慣の改善が必要


高血圧の診断には至らないが、正常血圧でもないことを「正常高値血圧」「高値血圧」といいます。


このような状態から、高血圧を予防するために「生活習慣の改善」が推奨されています。


生活習慣の改善の方法として運動療法があります。


運動療法の効果とは?


高血圧治療の基本的な方法は生活習慣の改善です。


そのひとつとして効果的な方法に「運動療法」があります。


運動を継続することによって血圧を下げる効果が長期的に期待できます。


ただし、高血圧の程度や合併症の有無によって、行うべき運動の種類や強度が異なるので、医師や専門家への相談が必要です。


ここからは、高血圧に対して運動を行うとなぜ血圧が下がるのその仕組みについて解説したいと思います。

 

運動療法で高血圧の改善ができるのには、様々な理由(メカニズム)がある


① 血管の弾性について

ひとつには、血管の弾力性が改善することによると考えられます。


運動を行うと血管が拡張したり収縮したりと体全身に血液を送ろうとする作用が働くため、血液循環が良好となります。


血液循環良好=血管が伸び縮みしやすくなることで、血管の弾力性が改善されて高血圧が改善されると考えられています。

 

② 運動による血管拡張作用

運動で、四肢の筋肉へ血液が供給されるため血管が拡張し血圧が下がります。

安静時は,心拍出量の約15%が脳,25%が腎臓,25%が肝臓,10%が骨格筋,残りが心臓や皮膚などに送られます。


最大運動時は、心臓から出ていく心拍出量が約5 倍に増え,増えた血液は各臓器に必要に応じた量が供給されます。


脳血流は低下しませんが、運動中に酸素をあまり必要としない腎・肝臓などへの血流は約1%となり、安静時の約20%以下の量に再分配されます。


運動中には交感神経活動の亢進によって、身体の各器官の細動脈の血管が収縮し,血流が減少します。


骨格筋などの酸素需要の高まる活動筋へは、血管の拡張作用により約90%の血液が供給されます。


その血管を拡張させる作用があるのは、一酸化窒素です。


中強度の運動をすると、心拍数が増えて血流が増加します。


そうすると、血管の内膜から一酸化窒素が分泌されます。


一酸化窒素が血管の平滑筋という筋肉に作用すると、筋肉がゆるんで血管が広がり必要な血液を供給できるようになります。


また、血圧を下げる効果もあり、一酸化窒素の作用により血管が広がると、血管の抵抗が減少するため血圧が下がり心臓への負担が減ります。


習慣的に運動を行うと、上の血圧が5mmHg前後下がることがわかっており、これは食事で減塩をしっかり行うのと同じ程度で、とても大きな効果と言えます。

 

③ 神経系の作用

血圧が上がると副交感神経(迷走神経)が興奮し、神経終末からアセチルコリンを放出します。


それによって心拍数の低下、心収縮力の減弱が起こるため、血圧は低下します。


血管には副交感神経の支配はありませんが、副交感神経が興奮すると相互作用により、交感神経の興奮が弱くなるため、血管は拡張します。

 

有酸素運動で高血圧が改善するメカニズム


国立障害者リハビリテーションセンター、国立循環器病研究センター、東京大学、東京農工大学、九州大学、国際医療福祉大学、関西学院大学、群馬大学、東北大学、大阪大学大学院医学系研究科、岩井医療財団、新潟医療福祉大学、所沢ハートセンターの共同研究グループによる研究で、ラットを用いた実験とヒト成人を対象とした臨床試験にて、適度な運動が高血圧改善をもたらすメカニズムを発見しています。

 

軽いジョギング程度の運動をすると、足の着地時に適度な物理的衝撃が頭部の脳に伝わり、脳内の組織液(間質液)が動きます。

 

これにより、脳内の血圧調節中枢の細胞に力学的な刺激が加わり、血圧を上げるタンパク質(アンジオテンシン受容体)の発現量が低下し、血圧低下が生じるそうです。


さらに、この頭部への物理的衝撃を高血圧患者(ヒト)に適用すると、高血圧が改善することを、世界ではじめて明らかにしたということです。


高血圧まとめ


高血圧の予防と改善に、運動療法は有効な手段です。

その他にも高血圧の予防や改善について重要となるのは「生活習慣の改善」です。

運動習慣だけでなく、生活習慣全体を見直して整えていきましょう。

以下に、高血圧における食事・生活・運動のポイントをまとめています。

 

・食事のポイント

塩分の過剰摂取を控える

酒類・アルコールの摂取を控える

飽和脂肪酸やコレステロールの摂取を控える

ビタミン・ミネラルを適度に摂る(野菜・果物・海藻類など)

 

・生活のポイント

自律神経を整える

禁煙する

質の良い睡眠をとる

ストレスを溜めすぎない

防寒する

高血圧の予防について詳しく知る、勉強する

 

・運動のポイント

① 運動種目

・有酸素運動(ウォーキング(速歩)・ステップ運動・スロージョギング・軽いランニング)

・筋力トレーニング(3〜6METs)・ダンベルフライやダンベルスクワット、チェストブレスなどの軽い筋力トレーニング 


② 運動頻度・時間

できれば毎日30分以上の運動を週に3回以上(週180分以上)実施(2日以上空けない)

・1回につき少なくとも10分以上継続して1日合計で1日40分以上運動実施を推奨

 

③ 運動強度

低・中強度の運動は収縮期血圧の上昇はわずかであるのに対して、高強度の運動は血圧上昇が顕著であるため、自覚的運動強度として、中等度「ややきつい」と感じる程度の運動強度(3〜6 METs 最大酸素摂取量の40~60%程度)が推奨される

 

④ 注意点

運動の効果を高めようとして、急に激しい運動を行うと、血圧の上昇につながるため生活のなかで身体活動量を増やすことから始める

運動量ついては医師や専門家によく相談することが大切である

 

適度な運動を継続することで症状の改善が期待できます。


また、効果はすぐに現れないこともあるため、長期的な視点で無理せず運動に取り組むことが大切です。


まずは、生活活動の中で行える散歩など、できることから始めてみてはどうでしょうか?

 

そして、高血圧の改善には運動療法だけでなく、日々の生活習慣の改善に取り組むことも大切です。


定期的に医療機関や専門家に相談し、アドバイスを受けながら高血圧の症状改善を目指していきましょう。


参考情報

 

 

 











 





0件のコメント

Comments


bottom of page