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筋肥大・筋力強化それぞれの筋トレに必要な1週間の頻度が分かる!



「筋トレを始めたが、1週間にどのくらいの頻度でトレーニングを行えばいいのか分からない」


前回は1週間にどのくらいの頻度でトレーニングを行えばいいのかについて記事を書きました。



 今回は、筋肥大、筋力増強それぞれに適した筋トレの頻度についての投稿です。


ただ筋トレをしても思うような効果は得られません。


筋肉に関する知識と効果的な方法を理解することで筋トレの効果が期待できます。



 

筋トレの効果は週の頻度と総負荷量で決まる



筋肉のトレーニング目的には大きく分けて2つあります。


それは筋肥大と、筋力向上です。(詳しくは、筋肥大筋力増強をご覧ください)


結論を言うと筋肥大、筋力向上ともに総負荷量で効果が決まります。


そして1週間あたりの実施頻度は中3日空けて週2回の実施が最適となります。

詳細は以下の通りです。


  • 1週間あたりの実施頻度は中3日空けて週2回の実施が最適

  • 週の頻度が増えればトレーニングの効果も高くなる

  • 総負荷量が同じであればトレーニングの効果は同じ

  • トレーニングの指標である「週単位の総負荷量」を決めて、週の頻度を調整・管理する

  • 筋肥大の効果的な総負荷量=強度(重量)× 回数×セット数×週の頻度

  • 筋力増強の効果的な総負荷量=1RMの80%以上の高強度×回数×セット数×週の頻度

  • きわめて高いトレーニング量は筋力増強のために適していない

  • トレーニングで同じ部位を鍛える場合は2〜3日は間隔を空ける


これから、筋肥大、筋力向上それぞれのトレーニング頻度について説明していきます。


筋肥大に効果的なトレーニング頻度

筋肥大の最大化に最も効果的な週単位のトレーニング頻度はどうなっているのでしょうか。


筋肥大は総負荷量[強度(重量)×回数×セット数]で決まります。(詳しくは、筋肥大をご覧ください)


そのため、週のトレーニング頻度を増やして、週単位の総負荷量を増やせば筋肥大の効果が高まります。


*筋肥大の効果的な総負荷量=強度(重量)×回数×セット数×週の頻度

 

筋肥大 研究① ニューヨーク市立大学のシェーンフェルドらの研究


2016年、ニューヨーク市立大学のシェーンフェルドらの研究報告では、

  • 週1日のトレーニングでは効果がない

  • 週2日で筋肥大の効果が認められた

  • 週3日でも同様の効果が認められた

と報告しています。


この結果から、週の頻度を多くして週単位での総負荷量を増やすことで筋肥大の効果が高められることが示唆されました。

 

筋肥大 研究② オクラホマ州立大学のコルクフーンらの研究


オクラホマ州立大学のコルクフーンらの研究報告もあります。


トレーニング経験者を集めて、頻度を週3回と週6回という二つのグループに分けました。


種目は3つで、週単位の総負荷量が同じになるように強度(重量)と回数、セット数を設定しました。


頻度に違いはあっても両グループの総負荷量を同じに設定して6週間トレーニングを継続しました。


そしてトレーニング前後の筋肉量を比較した結果、両グループの筋肉量は共に増加したが、グループ間では有意な差は認められませんでした。


この結果から筋肥大の効果は頻度ではなく、週単位の総負荷量で決まることが分かりました。


つまり、

「週単位の総負荷量が同じであれば、週の頻度が3回でも6回でも効果に変わりはない」

出典:科学的に正しい筋トレ 最強の教科書 2019年 庵野 琢将

ということが示唆されました。


パターン① 強度(重量)と回数は同じでセット数と週の頻度が異なる

  • 総負荷量=20Kg×10回×4セット×週2回=1600Kg

  • 総負荷量=20Kg×10回×2セット×週4回=1600Kg

 総負荷量は同じであり筋肥大の効果も同等になります。

 

パターン② 強度(重量)と週の頻度は同じで回数とセット数が異なる

  • 総負荷量20Kg×10回×2セット×週3回=1200Kg

  • 総負荷量20Kg×5回×4セット×週3回=1200Kg

 総負荷量は等しくなり、筋肥大の効果は同等になります。


筋力増強に効果的なトレーニング頻度


筋力増強のトレーニングは、高強度トレーニング一択です。(詳しくは筋力増強をご覧ください)


1RMの80%以上の高強度トレーニングを推奨しています。(例:1RMが100Kgの時は80Kgの重量でトレーニングを行う)


そして、筋力増強効果も筋肥大と同じで、週単位の総負荷量が効果の指標となります。


*筋力増強の効果的な総負荷量=1RMの80%以上の高強度×回数×セット数×週の頻度

 

筋力増強 研究① ヴィクトリア大学のGrgicらの研究


ヴィクトリア大学のGrgicらの研究では、週の頻度と筋力増強効果の関連について解析しています。


結果は、週の頻度を多くすると筋力増強の効果は有意に高まることが示唆されました。


そのほかにも、トレーニング内容、年齢、性別によっても効果が違うことが報告されています。


トレーニング内容

  • 単関節トレーニング(アームカールなど一つの関節に負荷をかけるトレーニング)では、週の頻度による筋力増強効果に大きな差はなし


  • 多関節トレーニング(ベンチプレスなどの複数の筋肉を使用する種目)は、週の頻度の増加に応じて筋力増強効果が高い


これは、単関節トレーニングよりも多関節トレーニングの方が多くの筋を使用しながら神経活動の適応を高めるために、多くの回数と頻度が必要となります。


その結果、おのずと総負荷量が高くなるからです。

 

*年齢と性別の解析

  • 若年者は週の頻度が多くなるにつれて、筋力増強効果が高まる

  • 女性の方が男性よりも週の頻度に応じて筋力増強効果が高まる


このようにGrgicらの研究により筋力増強効果も筋肥大と同様に、週の頻度に応じて効果が高まることが明らかになりました。

 

筋力増強 研究② イギリス・西スコットランド大学ラルストンらの研究


イギリス・西スコットランド大学ラルストンらの研究では、週単位の総負荷量が同じ場合における、週の頻度による筋力増強効果について解析しています。


この解析は、週の頻度を3つ分けて行われました。


週の頻度は違うが週単位の運動負荷量は同じ

  • 低頻度(週1回)

  • 中頻度(週2回)

  • 高頻度(週3回以上)


結果は、週単位の総負荷量が同じ場合、週の頻度を変えても筋力増強効果に有意な差は認められませんでした。


これは、筋肥大と同様に、筋力増強でも週単位の総負荷量が効果の指標になります。

 

まとめ

効果的な筋トレの頻度は、週の頻度が増えれば効果も高まり、週単位の総負荷量がその指標となることが分かりました。


そして、筋肥大・筋力増強ともに、週単位の総負荷量から週の頻度を管理・調整できるということになります。


パワーズ生理学では

「週の頻度に関してきわめて高いトレーニング量は(例えば10セット以上)のウエイトトレーニングプログラムは、筋力増強のために適していないことは明らかである」

出典:パワーズ運動生理学 2020年 スコット K .パワーズほか P519

 

と明記されており、怪我の恐れもあるためトレーニングの行いすぎは良くありません。


つまり、トレーニングの基準となる「週単位の総負荷量」を決めておき、体調や疲労に合わせてセット数と回数、週の頻度を調整・管理していくことが大切になると考えます。

 

また、著書:骨格筋肥大のサイエンスとトレーニングへの応用には


「一般的な筋肥大トレーニングの指針では, 同一筋群に対するトレーニングの間に少なくとも 48  時間の間隔を開けることが推奨されている」

引用:Brad Schoenfeld. 骨格筋肥大のサイエンスとトレーニングへの応用 (p.81). Kindle 版.


と書かれており、トレーニングで同じ部位を鍛える場合は2〜3日は間隔を空けたほうが良いと考えます。


著書:筋肉の機能・性質パーフェクト事典には


「週2回の実施に比べると効果はかなり小さくなるが、週1回のトレーニングの実施でも筋肥大は可能」

と書かれています。


そして、2016年、ニューヨーク市立大学のシェーンフェルドらの研究では、週1日のトレーニングでは効果がないと報告があるため、週2回以上のトレーニングを行なった方が良いと考えます。


結論として、効果的な筋トレを行うには総負荷量と筋タンパク質合成や回復期間を考慮して、1週間あたりの実施頻度は中3日空けて週2回の実施が最適となります。

 

筋肥大、筋力向上ともに総負荷量で効果が決まる

・1週間あたりの実施頻度は中3日空けて週2回の実施が最適

・週の頻度が増えればトレーニングの効果も高くなる

・総負荷量が同じであればトレーニングの効果は同じ

・トレーニングの指標である「週単位の総負荷量」を決めて、週の頻度を調整・管理する

・筋肥大の効果的な総負荷量=強度(重量)×回数×セット数×週の頻度

・筋力増強の効果的な総負荷量=1RMの80%以上の高強度×回数×セット数×週の頻度

・きわめて高いトレーニング量は筋力増強のために適していない

・トレーニングで同じ部位を鍛える場合は2〜3日は間隔を空ける


参考情報

・科学的に正しい筋トレ 最強の教科書 2019年 庵野 琢将

・パワーズ運動生理学 2020年 スコット K .パワーズほか

・骨格筋肥大のサイエンスとトレーニングへの応用 2021年 Brad Schoenfeld.

・スポーツ科学の基礎知識 筋肉の機能・性質パーフェクト事典 2020年 石井 直方

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