今回は、「運動で得られる睡眠の効果」についてお話しします。
よく運動は体に良いと聞きますが、では実際にどのような効果があるのか、詳しくわからない人もいると思います。
せっかく運動を行うのであれば、体にとってどんな効果があるのかを知っているとより筋トレや運動するのが楽しくなります。
そこで、この記事では、運動を行うことで得られる身体面への効果を3つご紹介したいと思います。
トレーニングの効果を理解するとより筋トレが楽しくなるのでぜひ最後まで記事を読んでください。
筋トレを行うことで様々な効果が得られます。
今回は、この中から運動の効果「睡眠」についてお話ししていきたいと思います。
目次
睡眠の質が上がる
睡眠の種類
睡眠の研究
成長ホルモンの効果
まとめ
参考情報
「睡眠の質が上がる」
筋トレは睡眠の質を向上させることができます。
なぜなら、運動を行うと睡眠の質が高いとされるノンレム睡眠の「徐波睡眠」が増加するからです。
マクマスター大学のコワセヴィッチらは、筋トレと睡眠に関する研究を行いその結論は
「筋トレは、睡眠の時間(量)は増やさないが、睡眠の質を高める」
というものでした。
そして、睡眠の質が高いほど成長ホルモンの分泌が高まることが分かっています。
成長ホルモンの効果として、健康な体作りと筋肉が育つことが期待できます。
この徐波睡眠について理解するには、睡眠のメカニズムを学ぶ必要があります。
睡眠は大きく2つに分けられます。
それは、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」です。
睡眠の種類
レム睡眠
レム睡眠は、睡眠段階のひとつで次の2つを特徴とします。
急速眼球運動(rapid eye movements: REMs)
骨格筋の筋活動低下
レム睡眠は、夢を見る睡眠段階であり、睡眠中に覚醒を促すと、約80%の人が夢を見ていたと話します。
そしてレム睡眠は、記憶の強化と成長期の脳の発達に重要です。
ノンレム睡眠(徐波睡眠)
健康な人の睡眠パターン 出典:AJINOMOTO いきいき健康教室
ノンレム睡眠は脳波記録により脳の活動を計測して、睡眠の深さによって上の図のようにステージ1〜4(浅い睡眠 → 深い睡眠)に分けられます。
ステージ1 | 覚醒と睡眠の移行期で、覚醒時の脳波に特徴的な高周波数活動が低下します。 |
ステージ2 | 最初の真の睡眠ステージで神経がリラックスしていく時期です。脳波に紡錘波およびK複合波は出現することで識別されます。 |
ステージ3 | 脳の覚醒系の機能が低下し眠りが深くなる時期です。脳波はかなりの割合でデルタ波(徐波)が出現します。 |
ステージ4 | 眠りが最も深い時期です。覚醒時に計測した脳波より50%以上をデルタ波が脳波の主要成分を占めた場合を言います。 |
参考文献:エリックR.カンデルほか カンデル神経科学 2014年 p.1115-p.1116
その中でもステージ3〜4は眠りが最も深く脳波の波形から徐波睡眠と呼ばれます。
徐波睡眠には脳をしっかりと休ませる働きがあり、成長ホルモンを分泌して疲労回復や身体の細胞の修復を行います。
また、次の3つの要素でノンレム睡眠の時間が長くなる(睡眠が深くなる)と言われています。
入眠前の覚醒時間の長さ
覚醒中の身体運動量
精神負荷量の増加
深い睡眠時期である徐波睡眠が多くなることは、深く眠れていることを意味し「睡眠の質が高い」と言えます。
睡眠の研究
マクマスター大学のコワセヴィッチらは、筋トレと睡眠に関する研究を行い、その結論は
「筋トレは、睡眠の時間(量)は増やさないが、睡眠の質を高める」
というものでした。
なぜなら、習慣的に筋トレを行っている人の場合、ノンレム睡眠のステージ1を減少させて徐波睡眠を増加させることが分かったからです。
ノンレム睡眠のステージ1の減少と徐波睡眠の増加という相乗効果により「深い眠りと質の高い睡眠」を獲得できたのです。
睡眠の質が高くなると「成長ホルモン」の分泌も高まります。
成長ホルモンの効果とは
成長ホルモンの効果は
正常な骨格と代謝の維持を助ける=骨の成長
血糖値をコントロールする=糖尿病の予防
血中から取り込むアミノ酸の量を増やしてタンパク質を合成させる=筋肉の発達
成長ホルモンのレベルは、睡眠・運動・ストレス・低血糖により上昇します。
そのため、運動や睡眠の質を高めることは、成長ホルモンのレベルを上げることに繋がります。
質の良い睡眠をとり成長ホルモンが分泌されれば健康な体作りと筋肉が育つことが期待できます。
まとめ
以上が、筋トレで得られる睡眠の効果でした。
運動を行うことで質の良い睡眠がとれます。
そして、成長ホルモンが分泌され、健康な体作りと筋肉が育つことが期待できます。
筋トレを行うことで、身体に良い効果を得られることがわかれば、日々のトレーニングがより楽しくなります。
今日も筋トレ、運動をしていきましょう!
参考情報
文献からの情報
科学的に正しい筋トレ 最強の教科書 2019年 庵野 琢将
知性を鍛える究極の筋トレ 2020年 井谷 武
カンデル神経科学 2014年 エリックR.カンデルほか
理学情報ジャーナル51巻6号(2017年6月)講座 運動と分子生物学・2 マイオカインによる代謝への影響 真鍋 康子
ビジュアル ホルモンのはたらきパーフェクトガイド 2021年 キャサリン・ウィットロックほか
インターネットからの情報
厚生労働省、2019年 国民生活基礎調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html
要約版WHO身体活動・座位活動ガイドライン(http://jaee.umin.jp/doc/WHO2020JPN.pdf)
funcity(https://funcity.work)
アルゴグローバル株式会社(https://www.argo-global.co.jp)
AJINOMOTO いきいき健康教室(https://report.ajinomoto-kenko.com/suimin/nayami.html)
e−ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-048.html)
Comments